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掲載開始日 2025年04月07日

児童文庫シェアNo.1※「第13回角川つばさ文庫小説賞」受賞作が決定!

※児童文庫レーベルトップシェア。公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所調べ(2025年3月)

株式会社KADOKAWA(本社:東京都千代田区、取締役 代表執行役社長 CEO:夏野 剛)は、児童文庫シェアNo.1レーベルの「角川つばさ文庫」を発行、小・中学生のためのエンタテイメント小説を募集する「角川つばさ文庫小説賞」を開催しています。2024年7月1日から8月31日に作品を募集した「第13回角川つばさ文庫小説賞」には、多くの素晴らしい作品が寄せられました。

このたび、厳正なる審査により受賞作品が決定、「一般部門」では、金賞1作、銀賞1作の受賞が決まりました。受賞作品は、角川つばさ文庫から刊行される予定です。

また、「こども部門」では神奈川県の小学5年生が〈グランプリ〉を、東京都の中学2年生が〈準グランプリ〉を受賞しています。

角川つばさ文庫小説賞公式サイト(https://tsubasabunko.jp/award/



●一般部門<金賞>概要
《金賞》『それ、犯罪ですよねっ?!』 夢乃ひいろさん

【あらすじ】
わたし、六法律華! 6年生だけど背がすっこく低いから、みんなから「小さくて頼りない女の子」あつかいされてるの。わたしはそれが、すごくイヤ。 そんなとき、国際弁護士をしてるママに『六法全書』っていう分厚い本をもらったんだ。「これを読めば、強くなれる。法律の力を借りて、自分と大切な人を守りなさい」って! 本1冊でなにができるのって思う? でもね、わたしはママを信じてる。体が小さくても法律を味方につけて、だれよりも強くなるんだ。というわけで、わたしは弁護士志望の6年生! 悪事は絶対ゆるさないし、クラスの平和だって守っちゃうんだから!

【著者プロフィール】
全国を転々としている社会人。モットーは「巨人の肩の上に立つ」。図工は得意だけど体育は苦手。ハマっているものは白湯と筋トレ。大学では児童教育とフランス文学を学びました。

【受賞のことば】
3度目の最終選考に残った夜、何度も吐きました。
怖かったからです。
「子供の心に寄り添う物語を書く」
その情熱だけで駆け抜けた、がむしゃらな数年間。
もし、また受賞を逃したら……?
あれ以上の作品を書けるのだろうか。立ち直れるのだろうか。
震える手で、薬箱を開けました。
「お腹痛い?」
心配そうに見上げる家族に微笑みました。「大丈夫だよ」と。
「落選しても、絶対に這い上がる。諦めない」
熱を帯びた胃薬が、腹の底で静かに溶け始めました。
選考にたずさわって下さったすべての皆さま、応援して下さった方々、本当に感謝しております。皆さまの言葉や存在がどれだけ励みになったか、「ありがとう」だけでは伝えきれません。このような素晴らしい賞をいただけて、まるで夢のようです。
私は、全ての子供達が「自分のことが大好き。大切だよ」と思いながら大人になってほしいと願っています。必ず熱い物語を届けます。頑張ります。
●一般部門<銀賞>概要
《銀賞》『古泉リコの、海の底までいってきます!』 深草ゆにえさん

【あらすじ】
古泉リコは小学5年生の女の子。リコのおじいちゃんは冒険家で、最後の冒険に出たあと行方不明になってしまった。残されたのは、アンティークと呼ばれるフシギな力のある道具たち。それは、『見せてくれない手鏡』や『寝させてくれない枕』など。そんなある日、リコは雨の中を学校から帰る途中、人のいない公園で、運動も勉強も万能な東郷くんが水たまりに飛びこむのを見てしまった。そして、東郷くんの姿は、水たまりの中に消えた!? 冒険のはじまりはいつも突然やってくる! リコたちは、とんでもない海の大冒険に挑む!

【著者プロフィール】
神奈川県在住。大学院生。哲学を学んでいます。作業を分割することが苦手で、なんでも一気にやってしまいます。それが吉と出ることも凶と出ることもあります。

【受賞のことば】
この度はすばらしい賞をいただき、誠にありがとうございます。
子どもの頃からずっと、何かを書かねばならないという強い気持ちだけを持っていました。人より本を読んでいたわけでも、書くチカラがあったわけでもないのに、おかしな話です。それなのに、気持ちだけだったのです。それだけを抱えて、今まで生きてきました。
ですが今回、こちらの賞のおしらせを目にした時「さすがに今年書かなかったらもう書かないだろう」とあせりを感じました。それが8月の終わり頃、締め切りは数日後です。これはまずいと一生懸命に考えをめぐらせ、私が子どもの頃から好きなものと、今の子が好きそうなギミック(仕掛け)を組み合わせ、なんとか形にすることができました。
反省点はいくつも浮かびましたが、自分の物語を初めて形にできたことは大きな自信につながりました。これも賞をくださった方々のおかげです。重ねて御礼を申し上げます。これからもおかしな話を書いていきたいです。
●一般部門選考委員選評
藤ダリオ様
作家、脚本家(藤岡美暢)としても活動。脚本の代表作 映画『貞子3D』、アニメ『殺戮の天使』など。著作に角川つばさ文庫「絶体絶命ゲーム」シリーズなどがある。

最終候補の3本は読みごたえのある作品でした。この作品を読ませたい、この作品でデビューするんだ、という作者の熱い思いが伝わってきました。
『それ、犯罪ですよねっ?!』は、エピソードの数が多くて、詰め込みすぎな感じはありますが、その分、作者のこれでどうだっ!という強い気持ちが伝わってきました。1つ1つのエピソード、登場人物たちを丁寧に書くと、エピソードの数は少なくても、読み応えのある作品になります。弁護士(法律)ものは、ありだと思います。目の付け所はいいです。ここは、まだゴールではありません、スタートです。頑張って、本にしてください。

『古泉リコの、海の底までいってきます!』は、勢いのあるエンターテインメント作品です。構成ができていないのが、マイナス点です。冒険に出るまでが長いのと、冒険に出たあと、アトランティスに着くまで、ワインボトルの潜水艦の中にいるだけで、動きがないのは退屈です。一人一人が海中で動けるような、アンティークを用意しても良かったです。強暴な海中人やロボットなどが襲ってくるような展開を期待しましたが、ラストにタコの怪物が出てくるだけなので、もっと盛り上がりがほしかったです。リコたちが、異世界へ通じる水たまりを見つけるのが、偶然というのも引っかかります。おじいさんの日記の暗号を解いて、異世界への穴を見つけるような展開にしてほしかったです。モチーフは面白いので、構成を勉強すると、もっと面白いものが書けると思います。

『まほ子ちゃんの花丸レシピ』は、魔法少女と現実主義者の小学生の話で、楽しく読ませてもらいました。ファンタジーの世界観の中に、現実的な価値観が入っているのは、面白いけど、違和感もあります。主人公は黒沢なのか、まほ子なのか、はっきりさせた方がいいです。まほ子を主人公にして、黒沢をストーリーテラーとして、修正すると面白くなると思います。現代の子どもに、魔法少女の物語でなにを伝えるのか、テーマを深く考えると、ちがう展開になると思います。読みやすい作品を書ける人なので、児童小説にむいていると思います。次回作に期待しています。


本上まなみ様
女優、タレントとして活躍するほか、エッセイや絵本などの著作も多数。

金賞『それ、犯罪ですよねっ?!』は弁護士の母親に憧れ、自分もその道を目指したいという少女律華が学級委員として奮闘する物語。正義感の強さが空回りして落ち込んだり、テストの日に起きた事件で友だちの思いに気づいたりと、成長の様子が丁寧に描かれます。途中、ある裁判の証人として彼女も証言台に立つ機会が訪れますが、法廷の凜とした緊張感ある描写も見事。周りの大人たちの存在感と各エピソードに厚みがあり、「どうして罪を犯したか、その理由を解決してあげないと、人はまた罪を犯す」という母親の言葉が光ります。小学生の視点から社会や法律を身近なものとして捉えることができる良作です。

銀賞『古泉リコの、海の底までいってきます!』は公園の水たまりと、海底に眠る謎の都市アトランティスとが繋がっているという発想にインパクトがありました。主人公リコの祖父は冒険家、そのお伴をするのは不思議な力を宿したアンティークで、いくら入れてもいっぱいにならない瓶、踏まれるのを嫌うカーペットなど、どれもとぼけた持ち味に興味をそそられます。ただ、ストーリー展開の仕方には気になる点も。祖父の冒険とリコの冒険とのつながり、ルール、理由づけがやや曖昧です。細部の描写にも気を配ることを心がければ、金賞にも十分手が届くのではないかと思いました。

『まほ子ちゃんの花丸レシピ』は、料理センスだけは抜群のどじな魔女の女の子と、ファンタジーが苦手な現実主義の男の子の対比が鮮やかな物語。まほ子の作るフランス菓子が美味しそうで、ありきたりのおやつでない点が良かったです。一方失敗する魔法については、水が落ちてくる、猫が落ちてくるなどやや安易にも感じられるのが勿体ないのと、物語前半は男の子の独白メイン、後半はまほ子が主軸となっているのも気にかかりました。魔法使いのお話は名作がたくさんあるため独創性を出すのは簡単ではないと思いますが、果敢な挑戦に拍手。次作も期待しています。

そして。これまで選考委員をご一緒してきた宗田理先生がご逝去されました。発想スケールの大きさとユーモア溢れるお人柄、そして誰より子どもの心を持っていた方。この小説賞の根幹そのものでした。先生の本を読んで大きくなった私が、お仕事までご一緒できたことは一生の思い出です。心からの感謝をささげます。

●こども部門〈グランプリ〉〈準グランプリ〉作品概要
《グランプリ》『体ライバルズ!!』 星野彩葉さん(小学5年)

【あらすじ】
体に特別な能力を持つ子たちが通う「体ライバルズ学園」。五年生のプー子はおならを使って浮いたり、演奏したりできるのだ。自分の体をバラバラにできるホネッキーや、他の友だちといっしょに、大騒ぎな学園生活を送るプー子。さて、クラス替えの結果はどうなる?


《準グランプリ》『失われた「オイシサ」を求めて』 ナガイミサキさん(中学2年)

【あらすじ】
「リョウリ」や「ショクジ」をせず、錠剤で栄養を摂る世界。行方不明の父から届いた手紙がきっかけで、蓮は以前会ったパンを焼くおじさん、そして父と再会できた。「オイシイ」という感情や、心を満たすことの大切さを知った蓮は、彼らについていくことを決心する。


そのほか最終選考結果の内容や、各賞についてのさらに詳しい選評等は、角川つばさ文庫小説賞公式サイト(https://tsubasabunko.jp/award/)をご覧ください。

●第14回角川つばさ文庫小説賞からはあさのあつこ様が選考委員に加わります!
あさのあつこ様
岡山県生まれ。『バッテリー』およびその続編で野間児童文芸賞、日本児童文学者協会賞、
小学館児童出版文化賞受賞。絵本から時代小説まで幅広いジャンルで活躍している。

【あさのあつこ様 コメント】
次回から、選考委員に加えていただく、あさのあつこと申します。
新しいとは、既成の価値や意味から半歩でも外れていくことでしょう。
私自身の、知らぬ間に凝り固まった思考の壁にヒビを入れてくれる。
そんな作品を読みたいと切に思います。

●角川つばさ文庫・角川つばさ文庫小説賞とは
「角川つばさ文庫」は、2009年3月に創刊した子どもたちの「読みたい気持ち」を応援する児童文庫シェアNO.1※レーベルです。
KADOKAWAの持つコンテンツや読者を楽しませるノウハウを子どもたちのために駆使し、青春、冒険、ファンタジー、恋愛、学園、SF、ミステリー、ホラーなど幅広いジャンルの作品を刊行しています。レーベル名には、物語の世界を自分の「つばさ」で自由自在に飛び、自分で未来をきりひらいてほしい。本をひらけば、いつでも、どこへでも……そんな願いが込められています。
主な作品に『四つ子ぐらし』『時間割男子』『ぼくらの七日間戦争』『怪盗レッド』シリーズなど。
※出典:児童文庫レーベルトップシェア。公益社団法人 全国出版協会 出版科学研究所調べ(2025年3月)

「角川つばさ文庫小説賞」は、小・中学生の子どもたちにもっと読書を楽しんでもらいたい、という願いを込めて2011年9月に創設された小説賞です。

■角川つばさ文庫公式サイト:https://tsubasabunko.jp/
■角川つばさ文庫公式X:https://x.com/tsubasabunko
■角川つばさ文庫LINE公式アカウント:https://page.line.me/tsubasabunko
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