失われた岬

失われた岬

  • 定価: (本体円+税)
発売日:
2021年10月29日
判型:
四六判
ページ数:
584
ISBN:
9784041109908

失われた岬

  • 著者 篠田 節子
  • 定価: 円 (本体円+税)
発売日:
2021年10月29日
判型:
四六判
ページ数:
584
ISBN:
9784041109908

古い友人も、ノーベル賞作家も、「岬」に消えた。神無き時代の新たな黙示録

古くからの友人も、ノーベル賞作家も、その「岬」に消えた――

この物語はあなたを、思いもよらぬところまで連れて行く。

人が人であるというのは、どういうことなのか。
練熟の著者が今の時代に問う、神無き時代の新たな黙示録。


 以前から美都子が夫婦ぐるみで付き合ってきた、憧れの存在である友人・清花。だが近年、清花夫妻の暮らしぶりが以前とは異なる漂白感を感じさせるようになり、付き合いも拒否されるようになったのち連絡がつかなくなった。清花たちは北海道に転居後、一人娘・愛子に「岬に行く」というメッセージを残し失踪したようだ。彼女の変貌と失踪には肇子という女性が関わっているようだが、その女性の正体も分からない。
 時は流れ約二十年後の二〇二九年、ノーベル文学賞を受賞した日本人作家・一ノ瀬和紀が、その授賞式の前日にストックホルムで失踪してしまった。彼は、「もう一つの世界に入る」という書置きを残していた。担当編集者である駒川書林の相沢礼治は、さまざまな手段で一ノ瀬の足取りを追うなかで、北海道のある岬に辿りつくが――。

 やがて明らかになる、この岬の謎。そこでは特別な薬草が栽培され、ある薬が精製されているようで……。
 近未来から戦時中にも遡る、この国の現実の様相。

 岬に引き寄せられる人々の姿を通して人間の欲望の行き着く先を予見した、著者畢生の大作。
古くからの友人も、ノーベル賞作家も、その「岬」に消えた――

この物語はあなたを、思いもよらぬところまで連れて行く。

人が人であるというのは、どういうことなのか。
練熟の著者が今の時代に問う、神無き時代の新たな黙示録。


 以前から美都子が夫婦ぐるみで付き合ってきた、憧れの存在である友人・清花。だが近年、清花夫妻の暮らしぶりが以前とは異なる漂白感を感じさせるようになり、付き合いも拒否されるようになったのち連絡がつかなくなった。清花たちは北海道に転居後、一人娘・愛子に「岬に行く」というメッセージを残し失踪したようだ。彼女の変貌と失踪には肇子という女性が関わっているようだが、その女性の正体も分からない。
 時は流れ約二十年後の二〇二九年、ノーベル文学賞を受賞した日本人作家・一ノ瀬和紀が、その授賞式の前日にストックホルムで失踪してしまった。彼は、「もう一つの世界に入る」という書置きを残していた。担当編集者である駒川書林の相沢礼治は、さまざまな手段で一ノ瀬の足取りを追うなかで、北海道のある岬に辿りつくが――。

 やがて明らかになる、この岬の謎。そこでは特別な薬草が栽培され、ある薬が精製されているようで……。
 近未来から戦時中にも遡る、この国の現実の様相。

 岬に引き寄せられる人々の姿を通して人間の欲望の行き着く先を予見した、著者畢生の大作。

※画像は表紙及び帯等、実際とは異なる場合があります。

もくじ

目次
第一章 冬の旅
第二章 ハイマツの獄
第三章 不老不死の薬
第四章 ストックホルムで消えた
第五章 崩壊
第六章 秘密の花園
第七章 キャンプ
第八章 研究所
第九章 破滅

「失われた岬」感想・レビュー
※ユーザーによる個人の感想です

  • 篠田節子の作品の中では『仮装儀礼』と1、2を争う長さ。それはいいとしても、書いているうちに当初の構想がズレていったのではないかと思われる。最初は宗教的な気配も漂う、解脱めいた方向で進んでいたはずなのだが 篠田節子の作品の中では『仮装儀礼』と1、2を争う長さ。それはいいとしても、書いているうちに当初の構想がズレていったのではないかと思われる。最初は宗教的な気配も漂う、解脱めいた方向で進んでいたはずなのだが、途中からは薬物依存からの解放に変異していった。もっとも、最初の解脱にしても、効果が劇的であるところから、宗教とは違ったものが予想されたのだが。また、物語の全体は2030年という近未来に設定されているが(これは最初の構想からそうであった)そのことと、主題との結びつきもはっきりしないままに終わってしまった。 …続きを読む
    ヴェネツィア
    2025年04月25日
    305人がナイス!しています
  • 篠田 節子は、新作中心に読んでいる作家です。600頁弱、完読しました。北海道の果ての岬に引き寄せられる人々の過去・現在・未来の警鐘小説、未来は本書のようにディストピアが待っているのでしょうか? https://www 篠田 節子は、新作中心に読んでいる作家です。600頁弱、完読しました。北海道の果ての岬に引き寄せられる人々の過去・現在・未来の警鐘小説、未来は本書のようにディストピアが待っているのでしょうか? https://www.kadokawa.co.jp/product/322009000356/ …続きを読む
    starbro
    2021年11月18日
    296人がナイス!しています
  • 謎めいた薬物やカルトに惹き寄せられた家族や友人が失踪する小説は多いが、超現実的なホラーやSF的原因を求めるかリアルな悪意や陰謀を描くかで作家の方向性が異なる。辻村深月や村上春樹は前者で、桐野夏生や篠田 謎めいた薬物やカルトに惹き寄せられた家族や友人が失踪する小説は多いが、超現実的なホラーやSF的原因を求めるかリアルな悪意や陰謀を描くかで作家の方向性が異なる。辻村深月や村上春樹は前者で、桐野夏生や篠田節子は後者か。人らしい欲望を失って北海道の岬に消える人びとを追う本作も、戦時中の覚醒剤開発に絡む薬学の暗黒史から外国のスパイ活動まで出ると現実の物語として収拾がつかなくなる。一応の事情は何とか明らかになるが、白頭山噴火という巨大災害で崩壊する結末は物語を放棄したようで『デビルマンレディー』の最終回を思わせた。 …続きを読む
    パトラッシュ
    2021年12月04日
    194人がナイス!しています

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