荒城に白百合ありて

  • 定価: (本体円+税)
発売日:
2019年11月21日
判型:
四六判
商品形態:
単行本
ページ数:
368
ISBN:
9784041084335

荒城に白百合ありて

  • 著者 須賀 しのぶ
  • 定価: 円 (本体円+税)
発売日:
2019年11月21日
判型:
四六判
商品形態:
単行本
ページ数:
368
ISBN:
9784041084335

この世界で、ともに生きられない。だから、あなたとここで死にたい。

 森名幸子から見て、母の鏡子は完璧な会津婦人だった。江戸で生まれ育った母は教養高く、武芸にも秀でており、幸子の誇りで憧れだった。
 薩長軍が城下に迫り、白装束を差し出して幸子に自害を迫った時も、母の仮面が崩れる事はなかった。しかし、自害の直前に老僕が差し出した一通の手紙が、母の、そして幸子の運命を大きく変えた。手紙から視線を外し、再び幸子を見た母は、いつもの母とは違うものに変わってしまっていた。その視線を見て、幸子は悟った。
 ――母は、この美しい人は、いまこの瞬間、はじめて私を「見た」のだ、と。

 薩摩藩士の青年・岡元伊織は昌平坂学問所で学ぶ俊才であったが、攘夷に沸く学友のように新たな世への期待を抱ききれずにいた。そんな中、伊織は安政の大地震の際に燃え盛る江戸の町でひとりさ迷い歩く、美しい少女と出会う。あやかしのような彼女は聞いた。「このくには、終わるの?」と。伊織は悟った。「彼女は自分と同じこの世に馴染めぬいきものである」と。それが、伊織の運命を揺るがす青垣鏡子という女との出会いであった。魂から惹かれあう二人だが、幕末という「世界の終わり」は着実に近づいていて――。
 稀代のストーリーテラーが放つ、幕末悲劇、いま開幕。
 森名幸子から見て、母の鏡子は完璧な会津婦人だった。江戸で生まれ育った母は教養高く、武芸にも秀でており、幸子の誇りで憧れだった。
 薩長軍が城下に迫り、白装束を差し出して幸子に自害を迫った時も、母の仮面が崩れる事はなかった。しかし、自害の直前に老僕が差し出した一通の手紙が、母の、そして幸子の運命を大きく変えた。手紙から視線を外し、再び幸子を見た母は、いつもの母とは違うものに変わってしまっていた。その視線を見て、幸子は悟った。
 ――母は、この美しい人は、いまこの瞬間、はじめて私を「見た」のだ、と。

 薩摩藩士の青年・岡元伊織は昌平坂学問所で学ぶ俊才であったが、攘夷に沸く学友のように新たな世への期待を抱ききれずにいた。そんな中、伊織は安政の大地震の際に燃え盛る江戸の町でひとりさ迷い歩く、美しい少女と出会う。あやかしのような彼女は聞いた。「このくには、終わるの?」と。伊織は悟った。「彼女は自分と同じこの世に馴染めぬいきものである」と。それが、伊織の運命を揺るがす青垣鏡子という女との出会いであった。魂から惹かれあう二人だが、幕末という「世界の終わり」は着実に近づいていて――。
 稀代のストーリーテラーが放つ、幕末悲劇、いま開幕。

※画像は表紙及び帯等、実際とは異なる場合があります。

「荒城に白百合ありて」感想・レビュー
※ユーザーによる個人の感想です

  • 直木賞候補作『また、桜の国で』に続いて、須賀 しのぶ2作目です。著者版『ロミオとジュリエット』という触れ込みなのでメロドラマと思いきや、読メ読みたい本ランキングの1位になるだけあって、壮絶な愛の物語でし 直木賞候補作『また、桜の国で』に続いて、須賀 しのぶ2作目です。著者版『ロミオとジュリエット』という触れ込みなのでメロドラマと思いきや、読メ読みたい本ランキングの1位になるだけあって、壮絶な愛の物語でした。本作も直木賞にノミネートされるかも知れません。大河ドラマ『八重の桜』のイメージで、主人公の荒城の白百合 鏡子は、綾瀬はるかを重ね合わせて読みました。NHKさん、次の次の大河ドラマの原作でいかがでしょうか。 …続きを読む
    starbro
    2019年12月10日
    342人がナイス!しています
  • 安政2年の江戸大地震で運命の糸に操られて出逢ってしまう薩摩藩士・伊織と会津藩士の娘・鏡子 時代は尊王攘夷の嵐が吹き荒れ大政奉還・王政復古・戊辰戦争と流れる中で二人の恋は究極の終着点に向けて進みます。  安政2年の江戸大地震で運命の糸に操られて出逢ってしまう薩摩藩士・伊織と会津藩士の娘・鏡子 時代は尊王攘夷の嵐が吹き荒れ大政奉還・王政復古・戊辰戦争と流れる中で二人の恋は究極の終着点に向けて進みます。 幕末の歴史のおさらいにはなりましたが、ロマンチックな恋に浸るよりもちょっとホラーな感じを味わいました。あはは <(^_^; …続きを読む
    射手座の天使あきちゃん
    2020年09月30日
    245人がナイス!しています
  • 政府軍が会津藩境の母成峠を突破したのは、慶応四年八月二十一日のことであった、森名家鏡子のもとに薩摩藩伊織から一通の手紙が届く・・完璧な会津夫人、会津の白百合と言われた森名鏡子は、幼い頃、安政の地震で燃 政府軍が会津藩境の母成峠を突破したのは、慶応四年八月二十一日のことであった、森名家鏡子のもとに薩摩藩伊織から一通の手紙が届く・・完璧な会津夫人、会津の白百合と言われた森名鏡子は、幼い頃、安政の地震で燃え盛る街中を彷徨い薩摩藩岡元伊織に助けられる。伊織は下士の三男ながら昌平坂学問所に推挙された俊才。共感した二人、しかし時代は、尊王攘夷の嵐、安政の大獄、桜田門外の変そして戊辰戦争へ、会津と薩摩は次第に敵対してゆく。翻弄された二人、俊英神保修理とその妻雪子の悲劇、薙刀の名手中野竹子。会津の歴史は武骨の悲劇か・・ …続きを読む
    たっくん
    2020年01月28日
    200人がナイス!しています

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