私は幽霊を見ない

  • 定価: (本体円+税)
発売日:
2019年08月30日
判型:
四六判
商品形態:
単行本
ページ数:
208
ISBN:
9784041081884

私は幽霊を見ない

  • 著者 藤野 可織
  • 定価: 円 (本体円+税)
発売日:
2019年08月30日
判型:
四六判
商品形態:
単行本
ページ数:
208
ISBN:
9784041081884

連載原稿のため、幽霊探しに余念のない著者。芥川賞作家が蒐集した怖い話

私は幽霊を見ない。見たことがない。さらに目が悪い。心眼でも見えないし、知覚する脳の器官も機能しない……。だけどいつでもどこでも怖がっている筋金入りの怖がりだ。
そんな著者は怪談雑誌「幽」で、怪談実話を連載することになった。そこで小学校時代からの恐怖体験から振り返る。築百二十年の小学校の女子トイレには、“四時ばばあなる老怪女”や“病院で死んだ三つ子の霊”が出現したこと。大学時代の友人たちから怖い話を聞き取りしたこと。友達の友達のお姉さんがイギリスのホテルで胸苦しくて目覚めると、金髪の白人女性がなにかをまくしたてながら首を絞めてきた話や、所属していたカメラクラブの部室の廊下を首のない女が走るという話などを思い出す。幽霊を見ない両親ですら、怪現象に遭遇している。夜ふと目を覚ますと白装束の自分の母親(著者の祖母)がベッドの脇にものも言わず、無表情で立っていたという。
芥川賞を受賞し、上京した際には、編集者や出会った人たちからの聞き取りを怠らなかった。タクシー運転手が背負った自殺者の霊の話、マン島で見た妖精のような小さい人と目が合うとウインクしてどこかへ消えた話、自分が殺される夢を見たその夜に殺人事件が起こった話、深夜誰もいないトイレで鳴らされたナースコールなど。
心霊体験をしたいがために、徳島県の廃墟ホテル訪問したり、レジデンスで訪れたアメリカで出ると言われているホテルに泊まったが幽霊には出会えず。
幽霊には会えていないけれど、幽霊とは何かという問いの答えは知っている。“幽霊とは、生きているときに上げられなかった声”だ。
私たちは誰であれ今でも、上げられない声を抱えながら生きているから、こんなにも幽霊を追い求めるのだろう。著者の幽霊探しの旅は続く。
私は幽霊を見ない。見たことがない。さらに目が悪い。心眼でも見えないし、知覚する脳の器官も機能しない……。だけどいつでもどこでも怖がっている筋金入りの怖がりだ。
そんな著者は怪談雑誌「幽」で、怪談実話を連載することになった。そこで小学校時代からの恐怖体験から振り返る。築百二十年の小学校の女子トイレには、“四時ばばあなる老怪女”や“病院で死んだ三つ子の霊”が出現したこと。大学時代の友人たちから怖い話を聞き取りしたこと。友達の友達のお姉さんがイギリスのホテルで胸苦しくて目覚めると、金髪の白人女性がなにかをまくしたてながら首を絞めてきた話や、所属していたカメラクラブの部室の廊下を首のない女が走るという話などを思い出す。幽霊を見ない両親ですら、怪現象に遭遇している。夜ふと目を覚ますと白装束の自分の母親(著者の祖母)がベッドの脇にものも言わず、無表情で立っていたという。
芥川賞を受賞し、上京した際には、編集者や出会った人たちからの聞き取りを怠らなかった。タクシー運転手が背負った自殺者の霊の話、マン島で見た妖精のような小さい人と目が合うとウインクしてどこかへ消えた話、自分が殺される夢を見たその夜に殺人事件が起こった話、深夜誰もいないトイレで鳴らされたナースコールなど。
心霊体験をしたいがために、徳島県の廃墟ホテル訪問したり、レジデンスで訪れたアメリカで出ると言われているホテルに泊まったが幽霊には出会えず。
幽霊には会えていないけれど、幽霊とは何かという問いの答えは知っている。“幽霊とは、生きているときに上げられなかった声”だ。
私たちは誰であれ今でも、上げられない声を抱えながら生きているから、こんなにも幽霊を追い求めるのだろう。著者の幽霊探しの旅は続く。

※画像は表紙及び帯等、実際とは異なる場合があります。

もくじ

私は幽霊を見ない 
富士見高原病院の幽霊
消えてしまううものたち
国立民族学博物館の白い犬とパリで会った猫
ついに幽霊とニアミスする
はじめて心霊スポットへ行く
幽霊はいないけれど、不思議なことはある
理想の死に方とエレベーターと私が殺した植物たち
アメリカの空港で幽霊を探す
夢が現実になる話
幽霊とは生きているときに上げられなかった声だ
後日談 ※書き下ろし

「私は幽霊を見ない」感想・レビュー
※ユーザーによる個人の感想です

  • 装画に惹かれ手に取る。ほどよく力が脱けている。作家は幽霊を見ない。ぜひ見てみたい、と行く先々で怖い話を聞いてまわる。誰かの怪談は、そのまた誰かの経験したことだったり、さらにまた誰かから聞いた話だったり 装画に惹かれ手に取る。ほどよく力が脱けている。作家は幽霊を見ない。ぜひ見てみたい、と行く先々で怖い話を聞いてまわる。誰かの怪談は、そのまた誰かの経験したことだったり、さらにまた誰かから聞いた話だったりする。語り手が遠ざかるほど怪しさは増す。ふむふむ、と聞きながら、作家はエア猫を飼っていたり、植物を育てたり、ニコラス・ケイジの画像を保存したりしている。幽霊、関係ないじゃん。そうやって油断していると……、ああ!幽霊ってそういうことなのかもなあ。僕も幽霊を見ない。小説を読んでいれば、いつか見られるだろうか。⇒ …続きを読む
    こーた
    2020年01月25日
    275人がナイス!しています
  • 「私は幽霊を見ない」という、同じ書き出しの連作エッセイ。作家としての藤野可織さんも大好きだけれど、エッセイを読んで素顔の藤野可織さんも大好きになった。幽霊を見たいのに、見れない、遭遇しない、どうしても 「私は幽霊を見ない」という、同じ書き出しの連作エッセイ。作家としての藤野可織さんも大好きだけれど、エッセイを読んで素顔の藤野可織さんも大好きになった。幽霊を見たいのに、見れない、遭遇しない、どうしても見たい、というエッセイの軸はあるけれど、それに付随した日常の描写とか、ハプニングとか、会話とかが絶妙に可笑しくて、何度か吹き出してしまった。作家の観察眼といいますか、突っ込むとこそこ?とか、え?そこ気になっちゃいます?とかいう感じが、かーなーり、面白い。でも藤野さん、不審者は幽霊より怖いですよ。油断しないで! …続きを読む
    風眠
    2019年10月28日
    98人がナイス!しています
  • 《図書館》初めましての作家さん。藤野さん、すごく綺麗な方!読みやすくてあっとゆう間に読み終わっちゃった。藤野さんの考え方が独特?で面白かった。 《図書館》初めましての作家さん。藤野さん、すごく綺麗な方!読みやすくてあっとゆう間に読み終わっちゃった。藤野さんの考え方が独特?で面白かった。
    ゆみきーにゃ
    2020年01月15日
    86人がナイス!しています

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