生き残り

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  • 定価: (本体円+税)
発売日:
2018年07月27日
判型:
四六判
商品形態:
単行本
ページ数:
208
ISBN:
9784041071076

生き残り

  • 著者 古処 誠二
  • 定価: 円 (本体円+税)
発売日:
2018年07月27日
判型:
四六判
商品形態:
単行本
ページ数:
208
ISBN:
9784041071076

人間存在のままならなさを静かに深く掘り下げた、サスペンスフルな戦争小説

北ビルマでの米支軍との戦いは、退路を断たれ、苦戦を余儀なくされた。独歩患者は中隊から切り離され、経験のとぼしい見習士官を付けられて分進隊として転進する羽目に陥る。イラワジ河をにわかづくりの筏で下る際、敵機に襲われ、すさまじい火力で河面が叩かれる。各自中州までようよう泳ぎ着くが、そのさなか、伍長が胸の一突きで殺される。あの極限状態のさなかで、いったい誰が? 大河の両岸には百姓ゲリラが控え、中州からの脱出もままならない。籠城はできても3日。日本兵たちはやがて、一人、またひとりと命を落とす――。
中州を脱出してひとり安全圏の渡河点にたどりついた兵隊から転進の行程を聞いた下士官は、話に違和感を覚え、兵隊に銃をつきつける。「お前、足手まといになった連れをひとり残らず殺して転進して来ただろう」――転進の道で鬼とならざるを得なかった人間の弱さ、優しさ、哀しさ。人間存在のままならなさを静かに深く掘り下げた、サスペンスフルな戦争小説!
北ビルマでの米支軍との戦いは、退路を断たれ、苦戦を余儀なくされた。独歩患者は中隊から切り離され、経験のとぼしい見習士官を付けられて分進隊として転進する羽目に陥る。イラワジ河をにわかづくりの筏で下る際、敵機に襲われ、すさまじい火力で河面が叩かれる。各自中州までようよう泳ぎ着くが、そのさなか、伍長が胸の一突きで殺される。あの極限状態のさなかで、いったい誰が? 大河の両岸には百姓ゲリラが控え、中州からの脱出もままならない。籠城はできても3日。日本兵たちはやがて、一人、またひとりと命を落とす――。
中州を脱出してひとり安全圏の渡河点にたどりついた兵隊から転進の行程を聞いた下士官は、話に違和感を覚え、兵隊に銃をつきつける。「お前、足手まといになった連れをひとり残らず殺して転進して来ただろう」――転進の道で鬼とならざるを得なかった人間の弱さ、優しさ、哀しさ。人間存在のままならなさを静かに深く掘り下げた、サスペンスフルな戦争小説!

※画像は表紙及び帯等、実際とは異なる場合があります。

「生き残り」感想・レビュー
※ユーザーによる個人の感想です

  • 図書館本。★★★★☆ 第二次世界大戦下のビルマ。日本軍は米軍に攻められ劣勢になっていた。南に向かい転進する途中の戸湊伍長と同じ隊の丸江は、一人でいる「兵隊」をみかけ声を掛ける。「兵隊」の名は森川。怪我人や 図書館本。★★★★☆ 第二次世界大戦下のビルマ。日本軍は米軍に攻められ劣勢になっていた。南に向かい転進する途中の戸湊伍長と同じ隊の丸江は、一人でいる「兵隊」をみかけ声を掛ける。「兵隊」の名は森川。怪我人や病人などの独歩患者を連れ、隊から離れて転進する分身隊の一人だったが、仲間が全滅したと言う。最初は白方という見習士官のもと心を病んだ朝永伍長、マラリアに苦しむ阿木原兵長、瀧上等兵、片目が見えない宮野一等兵、そして森川も足を痛めていた。分隊を率いるのが経験の浅い見習士官と言う事で誰もが不満を持っていた。 …続きを読む
    ゆりあす62
    2018年09月01日
    82人がナイス!しています
  • 「ひとりでも兵隊とはこれいかに」。独りでいる兵隊を配下に加える。兵隊は自分の隊がゲリラに襲われて壊滅したと言う。生き残りである。隊は常に能力の最も劣る者の行動に制約される。これは他人である。情を寄せる 「ひとりでも兵隊とはこれいかに」。独りでいる兵隊を配下に加える。兵隊は自分の隊がゲリラに襲われて壊滅したと言う。生き残りである。隊は常に能力の最も劣る者の行動に制約される。これは他人である。情を寄せるべきではない。名前も忘れるに越したことはない。ようするに単なる兵隊でしかない。生死を分ける要素はおうおうにして運である。命を捨てる覚悟を必要なときに固められるのが良い兵隊。「お前は兵隊ではない。だが奇妙という意味では兵隊としか呼びようのない人間だ」。兵隊の語る話が真実か否かが戦場でどれほどの意味を持つのか。 …続きを読む
    かっぱ
    2018年11月08日
    34人がナイス!しています
  • 古処さんの新作は「中尉」「いくさの底」に続いてまたビルマ戦記。戦争末期、転進と言う名の撤退中にとある傷病兵部隊が全滅。一人残った兵隊に疑惑の影。ミステリー要素もありますが、もう古処さん、来れるやつだけ 古処さんの新作は「中尉」「いくさの底」に続いてまたビルマ戦記。戦争末期、転進と言う名の撤退中にとある傷病兵部隊が全滅。一人残った兵隊に疑惑の影。ミステリー要素もありますが、もう古処さん、来れるやつだけ付いて来い的な独特独自の世界観。渋いわー! ビルマ腐れの足を引きずりながら雨季のぬかるみ道を歩いてる気持ちになりながら読みました。 …続きを読む
    おかむら
    2018年10月13日
    31人がナイス!しています

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著者紹介

古処 誠二

1970年福岡県生まれ。2000年メフィスト賞でデビュー。
2017年、『いくさの底』で第71回日本推理作家協会賞、第71回毎日出版文化賞を受賞。

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