新版 歌集 てのひらを燃やす

  • 定価: (本体円+税)
発売日:
2018年06月30日
判型:
四六判
商品形態:
単行本
ページ数:
168
ISBN:
9784048841832

新版 歌集 てのひらを燃やす

  • 著者 大森 静佳
  • 定価: 円 (本体円+税)
発売日:
2018年06月30日
判型:
四六判
商品形態:
単行本
ページ数:
168
ISBN:
9784048841832

とどまっていたかっただけ風の日の君の視界に身じろぎもせず

今最も注目の歌人、大森静佳の第1歌集『てのひらを燃やす』(2013年)が、ソフトカバーになって生まれ変わる。現代歌人協会賞、日本歌人クラブ新人賞、現代歌人集会賞受賞。 今最も注目の歌人、大森静佳の第1歌集『てのひらを燃やす』(2013年)が、ソフトカバーになって生まれ変わる。現代歌人協会賞、日本歌人クラブ新人賞、現代歌人集会賞受賞。

※画像は表紙及び帯等、実際とは異なる場合があります。

「新版 歌集 てのひらを燃やす」感想・レビュー
※ユーザーによる個人の感想です

  • 種のない葡萄の果汁滴れるきょうという日にきみがいること。はなれていくからだにきもちが追いつかないので、きょうも2人ぶんの夕食をたべる。きみがいつか死ぬことを思うと、軽石を川に投げこんで安心したふりをす 種のない葡萄の果汁滴れるきょうという日にきみがいること。はなれていくからだにきもちが追いつかないので、きょうも2人ぶんの夕食をたべる。きみがいつか死ぬことを思うと、軽石を川に投げこんで安心したふりをする。もう失うことのない空が暮れはじめたら、鈴蘭灯が赤く光っていて綺麗だね。って話したいきみはああずっと遠い。夕暮れの間だけは、遮光カーテンの奥で一緒にくっついていたかったし。綺麗なものが消えきったあとで、わたしを見て微笑むきみが欲しかったし。性愛がさびしくて、きみのはきだす震えた夜が、だいすきだったんだ。 …続きを読む
    ちぇけら
    2019年06月30日
    23人がナイス!しています
  • 大学四年間の、自身の恋愛を詠んだ短歌が多く収められている。学問について詠んだ歌もあるが、わずか。友人や旅行など、学生生活を正面から詠んだものは皆無と言っていいのでは。ほとんどが恋と自分の内面関連、なの 大学四年間の、自身の恋愛を詠んだ短歌が多く収められている。学問について詠んだ歌もあるが、わずか。友人や旅行など、学生生活を正面から詠んだものは皆無と言っていいのでは。ほとんどが恋と自分の内面関連、なのにそれほど鬱陶しさを感じないのは、著者独特の大胆なスタイルがあるのかも。女子大生のプライバシーを無理やり覗かせられている感じはない。個人的な経験を詠みながら、景が大きい、広い。豆腐やてのひらを詠んだとしても、果てしない広がりを感じさせるのが作者の力だと思う。上手い歌人の、みずみずしい底力をみた気がした。 …続きを読む
    だいだい(橙)
    2022年02月06日
    20人がナイス!しています
  • かなしみはいつも怒りを追い越して水田の面に輪を落とす雨|塗り絵のように暮れてゆく冬 君でないひとの喉仏がうつくしい|忘れていい、わたしが覚えているからと霙の空を傘で突きゆく|マネキンの脱衣うつくし夜の かなしみはいつも怒りを追い越して水田の面に輪を落とす雨|塗り絵のように暮れてゆく冬 君でないひとの喉仏がうつくしい|忘れていい、わたしが覚えているからと霙の空を傘で突きゆく|マネキンの脱衣うつくし夜の隅にほの白い片腕をはずされ|ひとの頬打つ熱を知らぬてのひらが風中に白き櫂となりぬ|憎むということがあまりにたやすくて素足を水辺に残して来たり|声変わりせぬおとうとと別れ来て真冬の万華鏡のしずけさ|声は舟 しかしいつかは沈めねばならぬから言葉ひたひた乗せる|ひらがなは漢字よりやや死に近い気がして雲の底のむらさき …続きを読む
    2023年02月12日
    13人がナイス!しています

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