いくさの底

第71回日本推理作家協会賞
第71回 毎日出版文化賞

いくさの底

  • 定価: (本体円+税)
発売日:
2017年08月08日
判型:
四六判
商品形態:
単行本
ページ数:
208
ISBN:
9784041061756

第71回日本推理作家協会賞
第71回 毎日出版文化賞

いくさの底

  • 著者 古処 誠二
  • 定価: 円 (本体円+税)
発売日:
2017年08月08日
判型:
四六判
商品形態:
単行本
ページ数:
208
ISBN:
9784041061756

ある一人の将校の死が、パンドラの函をこじあける――戦争ミステリの到達点

【新聞、週刊誌ほかで、本読みたちから絶賛の嵐!】

謎解きの構成が、戦争小説としてのテーマと完璧に結びついている点といい、
抑えた筆致が醸し出す不穏な緊張感といい、ほれぼれするほど完成度の高いミステリである。
――千街晶之(「東京新聞」書評より)

外部との連絡が難しい閉鎖空間の村で、互いを疑うことで生まれる息苦しいまでのサスペンスは圧倒的。意外な犯人にも、衝撃の動機にも驚かされる。
――末國善己(「朝日新聞」書評より)

正統派犯人当て小説。
読者を真相へ導く終盤の展開には圧巻の迫力がある。
――杉江松恋(「週刊新潮」書評より)

戦争小説のスタイルと犯人当て小説の手法が必然性を持って結びついた「戦場ミステリ」の逸品!
――若林踏(「小説現代」書評より)

いちだんと夾雑物を排し、静かに鋭く人間性を掘り下げている。
堂々たる語りの優れた戦争ミステリーだ。
――池上冬樹(「共同通信」配信書評より


「そうです、賀川少尉を殺したのはわたしです」――ビルマ北部のある村に駐屯することになった日本人将校の突然の死。
いったい誰が、なんのために殺したのか?
皆目見当がつかず、兵士も住民も疑心暗鬼にかられるなか、のどかな村に人知れず渦巻く内紛や私怨が次第にあぶり出されていく。
戦争という所業が引き起こす村の分断、軍隊という組織に絡め取られる心理。
正体のあかされない殺人者の告白は、いつしか、思いもよらない地平にまで読者を連れ出す――
驚天動地、戦争ミステリの金字塔。
【新聞、週刊誌ほかで、本読みたちから絶賛の嵐!】

謎解きの構成が、戦争小説としてのテーマと完璧に結びついている点といい、
抑えた筆致が醸し出す不穏な緊張感といい、ほれぼれするほど完成度の高いミステリである。
――千街晶之(「東京新聞」書評より)

外部との連絡が難しい閉鎖空間の村で、互いを疑うことで生まれる息苦しいまでのサスペンスは圧倒的。意外な犯人にも、衝撃の動機にも驚かされる。
――末國善己(「朝日新聞」書評より)

正統派犯人当て小説。
読者を真相へ導く終盤の展開には圧巻の迫力がある。
――杉江松恋(「週刊新潮」書評より)

戦争小説のスタイルと犯人当て小説の手法が必然性を持って結びついた「戦場ミステリ」の逸品!
――若林踏(「小説現代」書評より)

いちだんと夾雑物を排し、静かに鋭く人間性を掘り下げている。
堂々たる語りの優れた戦争ミステリーだ。
――池上冬樹(「共同通信」配信書評より


「そうです、賀川少尉を殺したのはわたしです」――ビルマ北部のある村に駐屯することになった日本人将校の突然の死。
いったい誰が、なんのために殺したのか?
皆目見当がつかず、兵士も住民も疑心暗鬼にかられるなか、のどかな村に人知れず渦巻く内紛や私怨が次第にあぶり出されていく。
戦争という所業が引き起こす村の分断、軍隊という組織に絡め取られる心理。
正体のあかされない殺人者の告白は、いつしか、思いもよらない地平にまで読者を連れ出す――
驚天動地、戦争ミステリの金字塔。

※画像は表紙及び帯等、実際とは異なる場合があります。

「いくさの底」感想・レビュー
※ユーザーによる個人の感想です

  • 名誉の戦死を遂げたことになれば、今更生きていましたは許されない。国にも帰れない。人は簡単に死ぬ。そして人はなかなか死ねない。無能な上官の行動で失われた戦友の命、失態を隠蔽するための無謀な作戦がさらなる 名誉の戦死を遂げたことになれば、今更生きていましたは許されない。国にも帰れない。人は簡単に死ぬ。そして人はなかなか死ねない。無能な上官の行動で失われた戦友の命、失態を隠蔽するための無謀な作戦がさらなる不幸を招く。インパールではまさにそれが起きたと言っても過言ではないのだろう。陸軍は兵隊を殴りすぎるから戦闘中に味方の方角から将校に向けて飛んできたとおぼしき銃弾も実際にあったそうだ。軍隊内部での怨恨、不都合な真実はなかったことにされる。彼の言葉が全て真実であればなんとも報われない。ラストは圧巻だった。 …続きを読む
    ケンイチミズバ
    2017年12月18日
    116人がナイス!しています
  • そういうことだったのか!と天を仰ぎたくなるような結末。ビルマの村に派遣された日本軍警備隊の賀川少尉が殺される。事件の犯人は誰か。軍内では情報が隠され、村人は戦時状況の下、誰も本当のことを言えない。日本 そういうことだったのか!と天を仰ぎたくなるような結末。ビルマの村に派遣された日本軍警備隊の賀川少尉が殺される。事件の犯人は誰か。軍内では情報が隠され、村人は戦時状況の下、誰も本当のことを言えない。日本軍、村人、支那軍、華僑の間の歪んだ関係は、硬質な文章にも煽られて緊張感たっぷり。戦闘シーンはないが、表に出て来ない戦争の恐ろしさが感じられ物語に引き込まれた。ラストにかけての長い告白に、事件の裏に潜む戦争の理不尽と不自由さ、それに縛られざるを得ない人々の心の悲しみが胸に迫ってきた。 …続きを読む
    naoっぴ
    2017年12月08日
    79人がナイス!しています
  • 以前読んだ「中尉」が強く印象に残っている著者の新作。日本人の少尉を殺したという衝撃の告白から幕が上がる。一体誰がなぜ…?硬質な文体で緻密に、論理的に、進められる物語。ともすれば無機質な印象になってしま 以前読んだ「中尉」が強く印象に残っている著者の新作。日本人の少尉を殺したという衝撃の告白から幕が上がる。一体誰がなぜ…?硬質な文体で緻密に、論理的に、進められる物語。ともすれば無機質な印象になってしまいそう。しかしそうならないのは、描かれているのが徹底して人間の心だから。人の命を奪うことは到底許されないことだ。しかし戦時下、この状況下だからこその悲しくやりきれない理由が胸を打つ。映画化もされている有名作品を思い浮かべたけれど、名前を出すのはネタばれになってしまうかも。 気になった方は是非手に取ってみて。 …続きを読む
    yumiko
    2017年10月30日
    79人がナイス!しています

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著者紹介

古処 誠二

1970年福岡県生まれ。2000年メフィスト賞でデビュー。
資料精査の果てに、従来の戦記文学を超越し、戦争体験者には書けない物語の領域を切り拓き続ける。近著に『線』『中尉』等。

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