肉弾

肉弾

  • 定価: (本体円+税)
発売日:
2017年10月06日
判型:
四六判
商品形態:
単行本
ページ数:
256
ISBN:
9784041053829

肉弾

  • 著者 河崎 秋子
  • 定価: 円 (本体円+税)
発売日:
2017年10月06日
判型:
四六判
商品形態:
単行本
ページ数:
256
ISBN:
9784041053829

誰に望まれなくても、お前は生きろ。

豪放でワンマンな父親のもとで育った貴美也は大学を休学中のニート。親に反発しながらも庇護下から抜け出せずにいる。そんな彼を父親は、北海道での狩猟に連れ出した。地元ガイドの話を無視し、大物の雄鹿を仕留めるために、父子はカルデラ地帯の奥深く分け入っていく。そこに突然熊が襲ってきた。なすすべなく腹を裂かれて死ぬ父親。ひとり取り残された貴美也。後ろから気持ちの悪い唸り声が追ってきた。情けなく涙と涎を垂らし、悪態をつきながら、貴美也は逃げる。ただ、死なないために。
自分の傲岸なまでに強靭なエゴに支配される人間。人間に従属する歴史を繰り返した犬。人間の営みにより生活をおびやかされた熊。残酷だが美しい、それぞれの生――そして青年は覚醒する。
豪放でワンマンな父親のもとで育った貴美也は大学を休学中のニート。親に反発しながらも庇護下から抜け出せずにいる。そんな彼を父親は、北海道での狩猟に連れ出した。地元ガイドの話を無視し、大物の雄鹿を仕留めるために、父子はカルデラ地帯の奥深く分け入っていく。そこに突然熊が襲ってきた。なすすべなく腹を裂かれて死ぬ父親。ひとり取り残された貴美也。後ろから気持ちの悪い唸り声が追ってきた。情けなく涙と涎を垂らし、悪態をつきながら、貴美也は逃げる。ただ、死なないために。
自分の傲岸なまでに強靭なエゴに支配される人間。人間に従属する歴史を繰り返した犬。人間の営みにより生活をおびやかされた熊。残酷だが美しい、それぞれの生――そして青年は覚醒する。

※画像は表紙及び帯等、実際とは異なる場合があります。

「肉弾」感想・レビュー
※ユーザーによる個人の感想です

  • 北海道は道東に在住の河崎さん作品第2弾です。前作『颶風の王』が三浦綾子文学賞を受賞しているだけに、今作も期待が高まります。今作はとにかく'サバイバル'な作風でした。色んな意味で本当に多岐にわたる'サバイ 北海道は道東に在住の河崎さん作品第2弾です。前作『颶風の王』が三浦綾子文学賞を受賞しているだけに、今作も期待が高まります。今作はとにかく'サバイバル'な作風でした。色んな意味で本当に多岐にわたる'サバイバル'な展開がスピード感失うことなく進んでいきます。人間が残した自然界への影響ははかり知れないばかりで、本作を読みことで改めてしっかりと学ばせていただきました。ニートな青年がとある事情により、突如熊に襲われ、そのまま野犬にも襲われと、なかなかヘヴィなストーリーです。ただのパニック作品ではありませんでした。 …続きを読む
    おしゃべりメガネ
    2017年10月27日
    243人がナイス!しています
  • 北海道。父と禁猟区に立ち入って熊を探す引きこもりの若者。人間の都合でオオカミと交配され誕生し結果人間の都合で捨てられたオオカミ犬。その他多くの捨てられた犬達はいつしか野犬となり群れとなる。そんな中父子 北海道。父と禁猟区に立ち入って熊を探す引きこもりの若者。人間の都合でオオカミと交配され誕生し結果人間の都合で捨てられたオオカミ犬。その他多くの捨てられた犬達はいつしか野犬となり群れとなる。そんな中父子は熊を見つけ出すが、父は敢えなく食い殺される。若者はなんとか逃げるが、オオカミ犬をボスとする野犬の群れに襲われる。若者は突如野生に目覚め、群れと闘い彼等を従える。そして熊との再びの対決。文字通り喰うか喰われるかの闘い。その勝負の行方は。読み始めたら止まらない、一気読み必至。命の力強さを改めて感じる作品だった。 …続きを読む
    青乃108号
    2024年07月08日
    238人がナイス!しています
  • 圧倒された。生きるか死ぬか。食うか食われるか。ここにあるのは、剥き出しの本能だけ。綺麗事は一切存在しない。父親を熊に喰われ、山中でたった独りになった青年と、人間に捨てられた野犬の群れ。極限の状況の中で 圧倒された。生きるか死ぬか。食うか食われるか。ここにあるのは、剥き出しの本能だけ。綺麗事は一切存在しない。父親を熊に喰われ、山中でたった独りになった青年と、人間に捨てられた野犬の群れ。極限の状況の中で生まれる連帯感。最後の正に死闘といえる場面は私は固唾を呑んで見つめるだけだ。身勝手な人間の理屈で傾けられ、歪んでいく自然界の軸。それに翻弄されながら、ただひたむきに生を全うするいのち。怒りと悲しみと、でも力強さや逞しさに胸が熱くなる時間だった。 …続きを読む
    みっちゃん
    2018年05月02日
    166人がナイス!しています

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著者紹介

写真:河崎 秋子

河崎 秋子

羊飼い。1979年北海道別海町生まれ。北海学園大学経済学部卒。大学卒業後、ニュージーランドにて緬羊飼育技術を1年間学んだ後、自宅で酪農従業員をしつつ緬羊を飼育・出荷。2012年「東陬遺事」で北海道新聞文学賞(創作・評論部門)受賞。2014年に三浦綾子文学賞を受賞した『颶風の王』を15年KADOKAWAより単行本として刊行。同書で2015年度JRA賞馬事文学賞を受賞した。

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