だからボクは旅をやめない。
真っ白だった。 上も、下も、右も、左も、ただ白かった。 「見事に何も見えないな」 「見事に何も見えないね」 「でも、すぐにまた、見えるようになる」 「見えるようになるだろうね」 「ねえ。見えるようになって、目の前にきれいさっぱり何もなかったらどうする? ちょっと嬉しくない?」 「ああ。でも、そんなことはありえないことを、ボクは知ってるからね」 「晴れたら、どうするつもり?」 「そうだな……、ここにいても仕方がないし、ボクにできることもない。出発するだろうな。それだけだ」 人間キノと言葉を話す二輪車エルメスの旅の話。短編連作の形で綴られる、大人気新感覚ノベル第3弾!!
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