高野聖

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  • 定価: (本体円+税)
発売日:
2011年06月23日
判型:
文庫判
商品形態:
文庫
ページ数:
400
ISBN:
9784044085070
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高野聖

  • 著者 五来 重
  • 定価: 円 (本体円+税)
発売日:
2011年06月23日
判型:
文庫判
商品形態:
文庫
ページ数:
400
ISBN:
9784044085070

日本宗教史を変えた不朽の名著、ついに文庫化!

霊場高野山を拠点に諸国を遊行した高野聖。歴史上の聖たちは、泉鏡花の名作『高野聖』で描かれた道心堅固な僧ではなく、妻帯して世俗生活を送り、末路は悪行も働いた下級僧侶だった。だが彼らこそ、民衆に根ざした生きた仏教の担い手であり、寺院経済を支えてきた存在だった。空海、西行、一遍などの足跡や歴史に埋没した古代から中世までの聖階級の活動に光を当て、徹底した“庶民史観”で日本宗教史を変えた、不朽の名著。 霊場高野山を拠点に諸国を遊行した高野聖。歴史上の聖たちは、泉鏡花の名作『高野聖』で描かれた道心堅固な僧ではなく、妻帯して世俗生活を送り、末路は悪行も働いた下級僧侶だった。だが彼らこそ、民衆に根ざした生きた仏教の担い手であり、寺院経済を支えてきた存在だった。空海、西行、一遍などの足跡や歴史に埋没した古代から中世までの聖階級の活動に光を当て、徹底した“庶民史観”で日本宗教史を変えた、不朽の名著。

※画像は表紙及び帯等、実際とは異なる場合があります。

もくじ

はしがき

一 聖というもの(一)──隠遁性と苦行性と遊行性と──
隠遁性/苦行性/遊行性

二 聖というもの(二)──呪術性と集団性と世俗性と──
呪術性/集団性/世俗性

三 聖の勧進と唱導──勧進性と唱導性──
勧進性/行基の勧進/菩薩号/社会的作善/唱導性/唱導の芸能化

四 高野浄土
山岳霊場と山中他界/高野の念仏/高野浄土

五 高野聖のおこり
優婆塞空海/承仕と念仏者/初期の念仏者

六 祈親上人定誉
定誉の生い立ち/高野山の荒廃/不滅の燈火/万燈会

七 小田原聖教懐と別所聖人
初期高野聖/小田原聖/小田原聖の旧跡/別所聖人

八 覚鑁と別所聖
覚鑁と別所聖/伝法院/念仏堂としての密厳院/本寺金剛峯寺との争い/覚鑁の念仏思想

九 仏厳房聖心と初期の往生者
覚鑁退去後の高野/仏厳の勧進行動/仏厳の念仏思想

十 高野聖の文学
有王丸/滝口入道/荒五郎発心譚

十一 新別所の二十四蓮社友
新別所/斎所聖寂阿弥/藤原成頼入道体阿弥/木工允平友時入道円阿弥

十二 鎌倉武士と高野聖
熊谷直実入道蓮生/西入・弘阿弥・覚蓮/葛山五郎景倫入道願生/佐々木高綱入道了智と虚仮阿弥陀仏/安達景盛入道覚智/足利義兼入道鑁阿/ある鎌倉武士

十三 高野聖・西行
西行の高野入山まで/西行の高野入山/廻国の勧進/元興寺極楽坊の勧進/蓮花乗院の勧進/東大寺再興勧進/西行の世俗性/西行の出家/西行の妻子

十四 俊乗房重源と高野聖
中期高野聖/重源の勧進/重源の社会的作善と湯屋/東大寺大仏の勧進/室生山舎利盗取事件/重源の念仏信仰/重源と建築技術

十五 明遍と蓮花谷聖
高野聖の開祖/明遍の入山/仏種房心覚/心覚と往生院/明遍と法然/明遍と高野聖/蓮花谷聖と納骨/明遍の念仏信仰/蓮花谷聖と『一言芳談』

十六 法燈国師覚心と萱堂聖
萱堂聖の元祖・覚心/覚心と奈須七郎親張入道/法燈覚心と念仏/法燈覚心と真言密教/萱堂聖と唱導/後深草山安養寺成仏院

十七 千手院聖と五室聖
千手院と国城院/後期高野聖の時宗化/五室聖/寂静院不動堂/大徳院

十八 高野聖の末路
後期高野聖の勧進活動/阿純・阿本の勧進/高野聖の商聖化/「洛中洛外図」他の高野聖/高野聖と山師/高野聖の宿借と悪行/信長の高野聖成敗/高野聖の真言帰入/江戸時代の高野聖/遊行高野聖の定着と芸能/庶民信仰と高野聖

まとめ

あとがき

解説  上別府 茂

「高野聖」感想・レビュー
※ユーザーによる個人の感想です

  • 個人的には我が富山県が高野聖と意外なほどに関りがあると知って驚いた。というより、高野山の高野聖は信長や家康によって徹底的に痕跡を消されて、高野山といえば空海の金剛峯寺のイメージ一色となった。時宗は何処 個人的には我が富山県が高野聖と意外なほどに関りがあると知って驚いた。というより、高野山の高野聖は信長や家康によって徹底的に痕跡を消されて、高野山といえば空海の金剛峯寺のイメージ一色となった。時宗は何処へ? である。が、富山(に限らないだろうが)など地方には、高野聖の痕跡が数多くの各地の祭りなどの形で残っているわけである。富山への認識を新たにした思いである。 …続きを読む
    やいっち
    2023年11月02日
    69人がナイス!しています
  • 泉鏡花の描く道心堅固な高野聖とは違う実像を明らかにした本。寺院の再建などで「勧進」を行うため諸国を廻国するのが本来の仕事だが、身分が低い存在とみられていた。やがて宿坊や納骨、さらには戦国時代になると商 泉鏡花の描く道心堅固な高野聖とは違う実像を明らかにした本。寺院の再建などで「勧進」を行うため諸国を廻国するのが本来の仕事だが、身分が低い存在とみられていた。やがて宿坊や納骨、さらには戦国時代になると商人や隠密になることもあったようだ。行基や空海、西行などもこうした「聖(ひじり)」と考えると違った姿が見えてきて興味深く読めた。鎌倉時代の武士が出家しても地頭職を続けたり、高野山がかつては念仏が盛んだったりするところは歴史の新たな一面が見られたと思う。妻帯する現代の僧侶は昔の「聖(ひじり)」と同じなのである。 …続きを読む
    南北
    2021年10月27日
    43人がナイス!しています
  • 哲学的思弁や苦行だけでは宗教は庶民の心をつかむことはできない。庶民とともに各地を遊行し世俗の塵にまみれて妻帯し苦楽をともにする半僧半俗の聖は仏教を身近なものにしただけでなく、勧進という名の集金によって 哲学的思弁や苦行だけでは宗教は庶民の心をつかむことはできない。庶民とともに各地を遊行し世俗の塵にまみれて妻帯し苦楽をともにする半僧半俗の聖は仏教を身近なものにしただけでなく、勧進という名の集金によって寺院の経済的基礎を支えた。高僧だけしか記述しない仏教史に逆らって、無数の無名の縁の下の力持ちの下級僧侶の群像を描く。空海や西行の漂泊も、親鸞の妻帯も、聖という補助線を引くとよくわかる。その呪術性や世俗性や遊行性や胡散臭さの点で、ヨーロッパ中世における魔女や占星術師と比べることができるかもしれない。 …続きを読む
    松本直哉
    2021年11月18日
    28人がナイス!しています

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